1.はじめに
2019年に労働基準法が改定となり、有給休暇を10日以上付与された従業員に対して、会社が5日有給休暇を消化させる義務が規定されました。この規程では、義務を果たせなかった事業者には、30万円の罰金が課されます。
法律は理解するが、うちは忙しくて、そんなにスタッフを休ませる余裕がないということで、有給休暇の消化ができていない病院もあるのではないでしょうか? 特に、規模小さい病院では、ぎりぎりの人員で運営されているところも多いため、休ませる余裕がないと考えている病院経営者もおられると思います。
しかし、有給休暇を取得の問題は、単に法対応へのリスクだけではありません。人材不足や採用難といった昨今においては、経営にとって大きなリスクにもなる言えますが、逆にチャンスにもなると考えます。
今回は、この有給休暇のテーマを2回に分けて、まずは法対応についてと、次回で有給休暇の活用が今後の経営に与えるリスクとチャンスについて説明させて頂きます。
2.法改正の趣旨
そもそも年次有給休暇は、心身のリフレッシュや生活との調和を目的とする制度ですが、実際には、「同僚に迷惑がかかる」、「忙しくて言い出しにくい」、「休むと評価が気になる」などの理由で、取得率が伸びない状況が続いてきました。これには、事業所の問題だけでなく、今まで培った日本人の仕事に対する意識の影響もあります。
だからといって、このような働き方を続けていては、働き過ぎによる健康被害の増加や、疲労による生産性低下につながり、世界の中での日本の競争力が低下に繋がりかねません。そのため、働き方改革の一環として、有給休暇の取得をこれまでの“本人任せ”ではなく、事業主に対して、確実に取得できる仕組みを作るように求めたのが、この法改正の趣旨です。
この法律の文言では、使用者に「労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない」としています。つまり、会社が時季を指定してでも取得させよということです。
3.法対応にむけた必要な取り組み
まず、今回の法改正に対応するためには、病院内でのルール作りとマネジメントが必要になってきます。その方法として、以下の通りまとめてみました。
この記事を書いた人

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東京都社会保険労務士会研修委員
社会保険労務士会江東支部広報委員長
【保有資格】
特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、メンタルヘルスマネジメント2種、HSK(中国語)6級
【略歴】
1988年:商社入社後、繊維事業部で営業職。上海での業務経験11年、人事部門、子会社役員を経験し、退社。
2024年:おおた社労士オフィス 開業。
【執筆】
裁判例分析にみる労務トラブルの争点と対応実務
2025年9月(中央経済社)出版
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